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プロフェッショナル!挑戦する焼津の企業~若手が活躍!グリーンテックの焼津の強みを活かした水耕農業×DXでスマート農業の実現~

株式会社焼津冷凍のグループである株式会社グリーンテックは、水耕ネギの生産販売を主力とする会社です。
土耕栽培のネギと比べ、「柔らかく辛みが少ないマイルドな食味」が特徴の葉ネギを全国に卸しています。

その耕地面積と出荷量は全国1位!
日本一の秘密と美味しい小ネギがどのように私たちの食卓まで届くのかを取材させていただきました!

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事業開始から40年、困難を乗り越え日本一に!

事業の始まりは昭和60年。焼津冷凍のアグリ事業部として水耕農業を始めました。

当時の社長さんが退任後に不振が続き、存続が危ぶまれていたところ、現社長の松村勲(まつむらいさお)社長による事業立て直しで好転。2018年に株式会社グリーンテックとして分社化しました。
そして今では、水耕ネギの耕地面積、出荷量ともに全国1位となりました。

聞くと、ここに至るまで、当初はネギだけでなく色々な野菜で水耕栽培を試行錯誤したそうです。
しかし、基本的に棚になっている人工光型植物工場では、背の高い農作物の生産が難しい。
そこに目を付けた松村社長は栽培する野菜の種類を絞り、なかでも競争率の低い小ネギの栽培に注力し、数年をかけて事業を確立させていったそうです。

水耕小ネギ農場

種をまいてから1か月半ぐらいの小ネギ

焼津だからこその水耕農業

そもそも、なぜこの事業が始まったのでしょうか。

総務課課長の内田将太(うちだ しょうた)さんによると、かつて養鰻場だった土地の再利用方法を考えていたことがきっかけだったそう。

水耕栽培を選んだ理由は、焼津は南アルプスを起点とする水温が一定した良質な伏流水があり、水源も豊富であること。そして、年間を通して気候も安定していて、物流面においてもアクセスが良好という焼津の土地柄を活かせると思ったからだそうです。

現在は群馬県にも農場がありますが、それは暑さに弱い小ネギは夏場に生産量が落ちてしまうため。夏でも比較的涼しい群馬県に農場を設けることで、生産量のバランスをとっているそうです。

水耕の説明をしてくださる内田さん

水耕の説明をしてくださる内田さん

農業では過剰と言われるほどの徹底した衛生設備で安心安全を

グリーンテックのつくる小ネギの特長は、「辛みが少ない」「土壌栽培に比べ菌が少ないので傷みにくい」などがあげられますが、その秘密は農業では珍しいHACCPレベルでの設備衛生管理がなされていることです。

収穫後の小ネギは最適温度で保管・加工・出荷されるため痛みにくく、出荷先での棚持ちがいいと好評だそうです。さらに、生産から出荷までを一貫して行うため、農業では難しいとされるトレーサビリティも確立されており、お客さまからの信頼を得ています。

「トレーサビリティ」‥‥食品の生産者、生産日、生産方法などの生産についての情報や、どのような経路で運ばれてきたかなどの流通についての情報を消費者自身が確認できるしくみのこと

温度管理された倉庫内

清潔に保たれたネギの箱詰め作業場

作業の機械化と管理のデジタル化でスマートな農業の実現

手作業や体力勝負というイメージが大きい農業ですが、グリーンテックでは、2022年から本格的に作業を自動・機械化し、これまでベテラン社員でないと難しかった作業を誰もができるようにしました。外国人技能実習生やパートさんでもできるようになったことで、雇用の幅が広がり、人手不足解消の一端を担っています。

2023年からは現場の育苗管理などをデジタル化し、ハウス内の様子がいつでもオンラインで確認できるアプリを独自開発したり、ハウス内環境制御システムの導入を開始しました。これにより、生産計画の効率化、従業員の負担軽減や休暇確保につながっています。「農業=休みが少ない」というイメージの払しょくへとつながる取り組みだと感じました。

難しかった種まき作業が、機械化で誰でも可能に

BCP対策で社員を守る・地球を守る

グリーンテックの水耕栽培に電力は欠かせません。
有事の際に困らぬよう、新工場には災害時の非常発電機を導入し、大切な商品を守るための動力を確保できるように対策されています。生産や提供を絶やさず事業が継続できることは、社員の生活を守ることでもあります。

また、環境問題への取り組みも行っています。脱炭素の取り組みとしてCO2フリー電気を契約したり、生ごみ処理機でこれまでは捨てるだけだった生ごみを完全液体肥料として再利用することで、循環型農業として地球環境保全に貢献しています。

生ごみ処理機

「約束」を大切に顧客と築く信頼関係

お話を聞く中で、グリーンテックが全国1位になった背景には、顧客との「信頼関係」が大きく影響していると感じました。

グリーンテックでは、基本的に年間での出荷契約をし、随時決めた数量を出荷しています。
自然環境に左右されやすい土耕栽培に比べて、水耕ネギは年間通して栽培が可能なため、通年で安定した出荷量と価格で取引ができるのです。お客さまとの約束を守り、それが「信頼」へと変わっていくのだと思いました。

実際に、近年は夏場の高温で小ネギの生産は減少しており、そうした中で安定して栽培するグリーンテックの水耕小ネギを求めて全国から問い合わせが増えているそうです。

説明をしてくださる内田さん

なんと従業員の平均年齢は20代!

現在、日本の農業は後継者不足が大きな問題となっていますが、グリーンテックは平均年齢が20代と大変若いことが特徴です。

内田さんによると、農業専門学校からの新卒採用を主とし、毎年県内外から多数応募があるのだそう。

若い世代が多いからこそ、現場のDXや機械化を積極的に取り入れることができる、それと同時に、そこにはベテラン社員の皆さんが積み上げてきたベースがしっかりとあるからこそ実現できたものなのだと感じました。

苗をハウス内に並べる新入社員さん

焼津で、そしてグリーンテックで働くことの魅力とは

若手が活躍するグリーンテック。
新卒で入社し今年で10年、現在は販売管理課の主任としてチームを引っ張っている奥村徳(おくむら とく)さんにお話を伺いました。

奥村さんは伊豆長岡の出身。入社を機に焼津へと移住しました。
「焼津での暮らしは海が近く、魚もおいしいところが地元と似ていて住みやすいです。強いて言うなら、焼津は時間をしっかり守る人が多いところが地元との違いだし、いいことだなあと感じます」と奥村さん。

グリーンテックで働くことの魅力については、「新しいことに挑戦させてくれることです。入社後、さまざまな部署で経験を積み、今では主任という立場で責任ある仕事を任せてもらえることも嬉しいです。今は新事業開始にあたり目標達成に向け日々奔走中です!」と話してくださいました。生き生きとお仕事されていることが伝わってきます。

入社10年目の奥村さん

取材を終えて

今はどの職種でも人手不足が問題になっていますが、テクノロジーを活用して労働環境を改善したり、前向きに社会問題に向き合う姿勢が印象的な会社でした。まずは会社が変わる、そして組織が変わる、そしていい従業員に恵まれる、といった好循環が生まれていることを肌で感じた取材でした。知れば知るほどグリーンテックさんの小ネギが、よりおいしく味わえると思います!

(左から焼津市シティセールス課の長田さん、グリーンテックの内田さん、まちリポ あきの)

ありがとうございました!

 

まちかどリポーター

まちかどリポーター:あきの

あきの

焼津で生まれ育ち、現在は焼津の水産会社で広報を担当。その中で焼津の良さを再発見したことをきっかけに、地元の人にも知られていないような焼津のおもしろさをもっと多くの人に知ってほしいと思い、まちリポに参加。

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ページ更新日:2024年1月19日