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プロフェッショナル!挑戦する焼津の企業「仕事を創造できる力×SDGs」で地域の未来を豊かに FPKナカタケ株式会社
焼津にある家具メーカーのFPKナカタケ株式会社は、「仕事を創造できる力」をモットーに新しいことへのチャレンジを続ける会社です。
「社長と呼ばれたくない!」と気さくにおっしゃる社長・中根さんをはじめ、前身となるFPK時代から会社とともに歩んできた山本さん、熊谷さん、現場で活躍する社員のみなさんのお話を伺いました。コミュニケーションを大切に、未来に向けた事業展開を目指すFPKナカタケさんの魅力に迫ります。
取材にご対応いただいたFPKナカタケのみなさん
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焼津で成長を続ける住宅家具のパーツメーカー
FPKナカタケ株式会社は、1973年に金物、家具パーツを販売する「カシワギ商店」として創業しました。
のちに、「FPK(ファニチャー・パーツ・カシワギ)」に社名変更し、2018年にはさらなる事業展開の突破口として、業務用特注家具を製造するナカタケ株式会社との資本・業務提携し、現在の「FPKナカタケ株式会社」になりました。
業務提携したナカタケ株式会社の会長はもともと上海出身の方。
上海に特注家具の量産製造拠点を置き、主にホテルの家具を日本へ輸出していましたが、日本にも製造拠点を設けることを考えていたそうです。ナカタケ株式会社との業務提携は、FPKにとっても事業拡大への大きな転機となりました。
この業務提携のメリットは、昨今のコロナ禍において特に発揮されました。
原料や部品などの供給不足に悩むメーカーが多い中、「グループ会社」という強みが活き、上海からの原料供給も比較的スムーズに進められたそうです。
社長の中根さん
現在の主な事業は、FPK時代から培ってきた家具のOEM製作に加え、商業施設に納品する本棚やカウンターといった大型の特注家具も製作しています。
さらに、自社製品の製作も行っており、企画開発から製作、販売を一貫して対応できる強みがあります。現在はBtoB向け商品がほとんどですが、コロナ禍で一般家庭向けの家具の需要が伸びていることから、BtoBからBtoCへと自社製品の販路拡大も視野に入れているそう。業務提携したことで、今後はナカタケの運営するECサイトでの販売も可能となるようです。
自社製品「どこでも く~も」誕生秘話と地域社会との関わり
そんなFPKナカタケの自社製品の中に、気になるものがありました。
それが、災害時の避難所用間仕切り「どこでも く~も」です。
災害時避難所用間仕切り「どこでも く~も」
「どこでも く~も」は大人が寄りかかれるほどの丈夫さが特長です。
避難所で使われる間仕切りというと、ダンボール素材などでつくられたものが一般的ですが、「どこでも く~も」に使用されている素材は、「MDF」という、木材のチップや繊維を乾燥させた状態で圧縮し、接着剤を使って固めた木材。強度などにバラつきがなく、住宅の耐力壁面材にも使用されています。重さはありますが、専用の収納兼台車があるので運ぶのにも負担はありません。
そして、導入する最大のメリットは、有事の際だけでなく「日常使い」ができること。「どこでも く~も」は小学校で導入されていますが、レイアウトを変えて迷路をつくったりドリブルコースをつくったりと、工夫次第で様々な使い道が生まれます。防災教育だけでなく、子どもたちの知育にも役立っていることから、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の達成につながると好評です。
子どもたちが親しみやすいデザインが施されているものも!
防災×家具づくりを通じた社会貢献
中根さんが防災に注目したきっかけは、ご自身が「防災の日(9月1日)」生まれであること、さらに会社のある焼津や出身地である愛知県も昔から東海地震が起こると言われてきたエリアであること。さらに、ここ最近耳にすることが増えたSDGsの流れを受け、防災をテーマに「家具製造」という事業を通じて社会貢献ができないかと考えていたそうです。
「どこでも く~も」の教育機関での活用もその一環。
「事業を通じてどのように社会貢献できるかを考えている中、当社がスポンサーを務めるサッカークラブ・藤枝MYFCさんも〈防災〉をテーマにした社会連携活動(シャレン!)を行っていました。そこで、避難所用の間仕切りを災害時だけでなく日常使いできないかと一緒に考案したのが、組み立て方を変え、迷路にして選手と一緒にするサッカー迷路イベント。小学校への納品時に、防災教育とレクリエーションを行っています」と中根さん。
「どこでも く~も」をもっとたくさんの小学校に納入し、活用してほしいという思いからクラウドファンディング(志太榛原地域4市2町の小学校に、日常使いできる避難所間仕切りを!)も立ち上げられました。
藤枝MYFCと行ったサッカー迷路の様子
子どもでも組み立てられる簡単仕様
「今後はサステナブルな商品をつくりたい」と中根さん。
「常に時代の先を読み、開発し、実験し、どこよりも早く商品化できる。メーカーとしての強みを最大限に活かして、自社ブランドを確立していきたい」とお話いただきました。
「どこでも く~も」のように自社製品のサステナブルな活用を広めるなど、FPKナカタケさんの「仕事を創造できる力」は随所に表れています。今後は、製造段階で出た端材を使った商品開発も検討されているようで、理念を原点としたSDGsの取り組みはますます広がりそうです。
目まぐるしく変化する世の中、次世代を担う若者の活躍を後押ししたい
「時代についていくため、これからは若い人の活躍が必要不可欠」。
そう断言する中根さんは、''若い人の意見を聞くこと”を大切にしています。社長自らが、若い人の意思を応援することで、常にコミュニケーションを取りやすい環境をつくっています。そのために社長室も設けていないのだそう。
また、コミュニケーションを大切にしている理由のひとつに、業務のDX化があります。
DXを実践する製造現場の社員のニーズを理解し、改善の糸口を見つけるためにも、意見しやすい環境づくりが大事だと改めて感じたそうです。私自身、FPKナカタケさんの社内の雰囲気がとても良いことを、訪問した際のみなさんの挨拶で実感しました。
製造現場で働くFPKナカタケの社員さん
コロナ前は、スポーツや占い(!?)などの様々なレクリエーションで、部門や役職の垣根を越えて交流できる場をつくり、風通しの良い環境づくりを実践。さらに日頃の業務においても、業務管理ツールを使い、社員の業務進捗を常に把握・整理できるようにしているそう。より意見を出し合えるようになり、作業の効率化にもつながったそうです。
製造部長はなんと30代!
製造部長の畑田さん
「気づけば人生の半分をFPKナカタケ(FPK時代含む)でモノづくりをしていました」と語るのは、若くして製造部門を統括する畑田さん。受注を管理し、業務を割り振り、製造現場の指揮を執ることを任されています。
「もともとモノづくりが好きなので、今は作業から離れて少し物足りないですが、若い子たちが仕事を効率よく行うために一緒に考えて、成長させることが自分の役割です」と意識の変化もあったそう。
実は釣り好きの畑田さん。
焼津のいいところを聞くと、「釣りスポットがあることはもちろん、表に出ていないようなアウトドアのガレージブランドに出会えること。また、街中も新しいお店が増え、盛り上がってきているので、市外出身者や若い人が何か新しいことにチャレンジするには焼津が合っていると思う」と教えてくださいました。
FPKナカタケが誇る家具製造工場
企画設計部長の熊谷さんに、焼津と藤枝市の岡部(おかべ)にある家具製造工場を案内していただきました。
企画設計部長の熊谷さん
もともと、鉄工所だったので天井が高いことが自慢!
そのおかげで、大型の家具も組み立てた状態での検査が可能で、お客様にも喜ばれているそうです。「ここからの構図がかっこいい!」とベストアングルも教えてくださいました。
ベストアングルで撮影した工場内
熊谷さんによると、みんなで協力してつくった家具が建物に納められ、実際に使用されている場面を目にできる喜びは格別なのだそうです。
「これまでは一般住宅向け家具のOEMがほとんどでしたが、今では宿泊施設や図書館、店舗などの公共の施設への納品も増えました。実際に自分たちの目で見ることで、良い製品を作ったな!と実感できるのがとても嬉しい」と話してくださいました。
特に自慢の製品は、人工大理石製品
聞くと、木工と人工大理石を同じ工場内でつくれるところはあまりないそう。
例えば、洗面化粧台には木工と人工大理石の両方を組み合わせて初めて完成品となります。FPKナカタケさんでは同じ工場内で作業を一貫してできるため、完成までの時間と費用を最低限に抑えられるメリットがあります。ひと月で120~130台を全国の住宅向けに製作しています。なんと人工大理石部門のリーダー松井さんも30代!
製造中の洗面化粧台のパーツ
人工大理石部門のリーダー松井さん
スタッフ同士、国の垣根も越えて活躍中
さらに、工場を統括する林さんに藤枝工場を案内していただきました。
藤枝工場には中国人、ネパール人、マレーシア人のスタッフも働いています。
なんと、日本人スタッフも中国語で仕事の話から世間話までできるようになっていて、社長の中根さんも驚いたそうです。
製品を説明する林さん
藤枝工場で図面製作を行っている3年目の白井さんにお話を伺いました。
白井さんは受注内容をもとに図面を製作し、部品の発注などを行っています。一から図面製作を任されるので責任重大ですが、現場の方とよくコミュニケーションをとることで仕事も安心して進められるようです。
そんな白井さんは、2021年に島田から焼津に移住。
趣味はドライブやショッピング、住んでみてわかった焼津のいいところはアクセスがいいところだと教えてくださいました。
図面製作中の白井さん
今人気のターントクルこども館の空間づくりにもFPKナカタケさんが貢献!
2021年7月にオープンしたターントクルこども館。
なんとこちらにもFPKナカタケの製品が納められていました!ぜひ探してみてください♪
ターントクルこども館に納品されたFPKナカタケさんの製品
取材を終えて
訪問した際、事務所のみなさんの気持ちのよい挨拶が本当にうれしかったです。そして、社長の中根さんをはじめ、社員の方々のお話、生き生きとお仕事をするみなさんを見て、会社の雰囲気や活気は社員さん一人一人が作り上げているんだなと感じました。
また、先を見据えて常に「どうしたら」と疑問を持ち、新しいことにチャレンジしていく中根さんのもとで働くみなさん。常にご自身の成長を求め、それが企業としての成長にもつながっていくんだと、気づきました。これから、たくさんの場所でFPKナカタケさんの製品に触れる機会が増えることを楽しみにしています!
まちかどリポーター
あきの
焼津で生まれ育ち、現在は焼津の水産会社で広報を担当。その中で焼津の良さを再発見したことをきっかけに、地元の人にも知られていないような焼津のおもしろさをもっと多くの人に知ってほしいと思い、まちリポに参加。
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ページ更新日:2022年4月11日