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“テクノロジー×地元の力”。焼津の水産業を未来につなぐ海業『YaizuUmi-Verse』
“焼津の魅力を未来につなげる”―。
焼津でおなじみのカツオやマグロについて、みなさんが安心して口にするまでにどのような過程があるかご存知ですか?
地元住民でも意外と知らないこの工程を、ゲーム感覚で楽しく体験できるイベント「YaizuUmi-Verse」が焼津PORTERSにて開催されました。
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焼津の水産会社に従事する身としても、この取り組みにはとても関心がありました。
「YaizuUmi-Verse」とは、BiginnersTech主催、学生を中心とした団体「サトヤマミライカイギ」主導で開催された”焼津の魅力を未来につなげる“をテーマとしたイベントです。
海にかかわる地域資源の価値や魅力を活用する“海業”の一環として企画されました。
発起人であるサトヤマミライカイギのメンバーで、焼津PORTERS学生インターンとしても活動する八木瞳さんにきっかけを伺いました。
(海業とは…海にかかわる地域資源の価値や魅力を活用する取り組みや事業を指し、水産物消費の拡大、地域活性により所得と雇用を生み出すことが期待されるもの。本イベントのような体験や飲食、観光事業が含まれます。)
―このイベントを立ち上げたきっかけを教えてください。
焼津PORTERSをはじめ、焼津で活動する中で、焼津には“水産業”という大きな産業があることが魅力だと感じました。しかし、子どもたちや若者に焼津の魅力を聞くと「知らない」「わからない」の答えが大半でとてもさみしく感じ、焼津の“水産業”を未来につなげなくては!と思ったのがきっかけです。
イベント発起人の八木瞳(やぎ ひとみ)さん
―『Umi-Verse』というタイトルの由来とコンセプトは?
イベントを企画する中で、まずは私たちの生活に身近な“食”にフォーカスしました。
水産業そのものを実際に体験してもらうことは難しいけれど、ただ言葉で伝えて知ってもらうのではなく、BeginnersTechとサトヤマミライカイギメンバーの持つ知識や技術を生かし、メタバース空間やVRなどのテクノロジーを活用した体験型で、子どもたちに楽しんでもらいながら次世代に焼津の産業を伝えたいと、この取り組みを企画しました。
笑顔で迎え入れてくれた受付の二人
焼津の事業者×VRで体験することでよりリアルに
イベントでは親子をターゲットに、カツオが漁獲されてからみなさんが食すまでの流れを『漁獲』『加工』『物流』『消費』の4つに分けました。『漁獲』『加工』『物流』のブースをスタンプラリー形式で体験すると、最後に『消費』としてめばちまぐろのお寿司が食べられるという仕組みです。めばちまぐろは焼津市内の水産事業者・山福水産で加工された製品が提供されました。
体験スタート!
受付後に早速体験したのは、漁獲!
メインコンテンツであるメタバースとVRを活用した「カツオ一本釣りVRゲーム」で、BeginnersTechとサトヤマミライカイギのメンバーによってイベントのために制作されました。学生たちが自分のスキルや経験を活かし、焼津のために働きかけてくれることがとても嬉しいですね。
VRゴーグルとコントローラーを装着し、目の前を泳いでくるカツオやマグロをタイミングよく釣り上げます!中には、ウニやお寿司なども。アイテムによって点数が変わり、合計スコアが出ます。最初は全く釣れなかったという参加者も、コツをつかんだら次々に釣り上げていきます。
体験中の参加者
次は、『加工』ブース。カツオの実際の加工動画を見ながら、職人さんと一緒に「カツオ解体君」というぬいぐるみを使った模擬体験をしました!
言葉や映像だけでは理解が難しいのですが、実際にカツオの体の構造や普段店頭に並んでいるカツオの節ができる過程を体験しながら勉強できるので、参加した大人からも「あ!男節と女節って、そういうことなんだ!(男節=背側/女節=腹側)」「大トロの部位ってお腹だったんだ!」と学びとなったようです。
山福水産の加工ブース(カツオ解体君と実際の加工で着用する手袋類)
一緒に加工体験
ブース体験してシールゲット!
そして、1Fフードコートのキッチンではカツオと燻製の専門店・川直さんによる「生カツオの解体ショー」が!マグロの解体ショーはよく聞きますが、カツオは焼津ならではですね。鮮やかな包丁さばきにみんな釘付けです!同時に、予約制でカツオの藁焼き体験も行われ、会場には香ばしい香りが立ち込めていました。
川直の山口さんによるカツオ解体ショー
子どもたちもハイテンション!
写真からも漂う香ばしさ…
出来立てもっちり藁焼きかつおたたき
スタンプラリーが完成すると、ゴールではいよいよスタッフさんの握るお寿司を食べることができます。楽しく疑似体験しながら学ぶことでより理解が深まりますね!
“魚河岸シャツ”で焼津全開の寿司職人
自分で釣って加工して、ゴールのお寿司にたどり着いた参加者
興味がないけど“ちょっと気になる”きっかけづくり
「水産業」は自らアクションを起こさずにはなかなか知ることがない分野だと思います。そうした中、開催された『YaizuUmi-Verse』 は、「なんか楽しそうだから参加してみよう!」と誰もが気軽に楽しめる仕組みで、参加事業者にとっても楽しく勉強しあえるイベントでした。
実際の一本釣りを動画で説明
たくさんの参加者でにぎわい、みなさんが熱心に興味をもって聞いて、体験していた様子に焼津市民として、水産業従事者としてとても嬉しかったです。
市外からの参加者も、「いつもふるさと納税で焼津市のかつおたたきを購入しています。カツオってこんな風に加工されるんだ!」と大人にとっても学びの場になり、子どもたちにとってもゲーム感覚で積極的に楽しめる場になっていたようです。
今回のような誰もが気軽に楽しめる仕組みは、学生さんの熱意や柔軟な発想、推進力があってこそ。そこに焼津の事業者が加わり、立場を超えて同じ目線で取り組んだことで、焼津の冷凍カツオが実はとても新鮮で美味しいことや、水産加工会社が焼津に多い理由、社会においての役割を知れる場になっていたのだと思います!
参加した事業者の声
―私たちの普段の作業を見て知ってもらい、驚いている姿が嬉しく、説明にも熱が入りました。参加していただいた皆さんが、このイベントをきっかけに焼津ならではの産業に興味を持ち、水産加工品を手に取っていただけたら嬉しいです!
―子どもたちのきらきらした目がまぶしかった!食に対して興味がある人が、熱心に聞いてくれていた印象です。食育の本質はこういったところにあるのかなと思います。焼津のカツオやマグロの消費促進のきっかけとなれば嬉しいです。
発起人の八木さんは、「結果はすぐに出るものでなく、長期的に継続し浸透させていくのが大切だと思っています。そのために、焼津の水産業にかかわる事業者さんに携わってもらうことでよりリアルに伝えることを目指しています。今後は地域の学校などとの交流も図り、さらに多くの人に知ってもらえるよう活動していく予定です」と意気込みを教えてくれました。
まちかどリポーター
あきの
焼津で生まれ育ち、現在は焼津の水産会社で広報を担当。その中で焼津の良さを再発見したことをきっかけに、地元の人にも知られていないような焼津のおもしろさをもっと多くの人に知ってほしいと思い、まちリポに参加。
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ページ更新日:2025年6月19日