焼津市ホームページまちかどフォトニュースバックナンバーまちかどリポーター一覧YUKA ≫ 「小石安之助商店」発酵おだしで美味しく手軽に健康に

まちかどphotoニュース

ここから本文です。

「小石安之助商店」発酵おだしで美味しく手軽に健康に

爽やかな風が吹く秋晴れの日、かつお節のいい香りがただよう浜当目。

ふと、思い出したのは県外出身の私が夫と結婚したばかりのころ、浜当目をドライブしていた時。

窓の外からカツオ節の香りを胸いっぱいに吸い込んだ瞬間「焼津に嫁いだんだな」と実感したあの日のことでした。

そんなことを想いつつ訪れたのは、創業125年を誇る「小石安之助商店」さんです。

ページ内メニュー

 

明るく気さくで素敵なご夫婦です

「こんにちは!」と朗らかな笑顔で出迎えてくれたのは4代目社長、小石英男さんと妻の貴子さん。

温かみのある雰囲気に、緊張していた私の心も一瞬でなごみました。

明治30年創業の「小石安之助商店」さんは創業当時からサバ節、カツオ節を製造しています。

125年前からずーっと続いているなんて、ものすごいことですよね!

実家が魚市場の私は、「どんな人がどういう想いで作ってるの?」と色々な興味がムクムクと湧いてきて居ても立ってもいられなくなり、今回取材させていただくことになりました。

ワクワクの工場見学へ

「まずは、工場へどうぞ!」という英男さんの案内で、早速工場を見学させていただきました。

この日は市場から買いつけたサバが、トラックに乗って運ばれてきていました。

水揚げのある日だけに見ることができる貴重な光景です

到着した魚は一晩桶の中で熟成させます。なぜなら鮮度が良すぎると、身が締まりすぎていて加工していく過程で身がバラバラになってしまうのだそうです。

そのため身を緩ませるために、専用の水槽で一晩寝かせます。

たくさんのサバが一休みしている水槽は間近で見ると圧巻です!

次に頭と内臓を切り離していきます。

ここで驚いたのは、なんと"手で内臓と頭を取る"ということ!!!

サイズが大小バラバラの魚を処理するには、包丁を使わずに手で処理した方が早いのだそうです。

スルスルッと、いとも簡単に頭と内臓が取れます

そうして処理したもの全てを、味付けなどをせずに煮ます。

煮釜からモクモクと蒸気が上がり迫力満点です

それを乾燥させたものがこちらです。

余分な水分が飛んでパリッパリです

脂肪分が多いサバでは乾燥しにくく脂が酸化してしまうので"ゴマサバ"という比較的脂質が少ない魚種をあえて使用しています。その方が味が締まって良いおだしになるのだそうです。

これを薪でいぶして香りをつけたものが、さば節になります。一般的にスーパーなどで売られているカツオやサバの削り節などは、大半がこのような工程で作られています。

しかし、小石安之助商店さんでは、そこからさらにカビ付け(発酵)を行って「枯れ節(かれぶし)」という、カツオ節界の中でも最高級品を製造しています。

大きいもので製造から完成までに約半年を要するそうです。

枯れ節にすることでおだしの味がキリッと締まり、うまみが増すのだそうです。

手間をかけた分だけ美味しくなるので、高値で取引されるのも納得です。

発酵おだしの誕生秘話

このように、かなり手間暇かけて作られているカツオ節とサバ節ですが、現在は節での販売ではなく、粉状に挽いた"粉末のおだし"に特化しているそうです。

それには、こんな開発秘話がありました。

妻の貴子さんは結婚後、昆布とカツオ出汁で丁寧にダシをとっていました。それが、家族に2人目のお子さんが誕生したとき、上の子をおんぶしながら授乳や食事の支度をしなければならず、ダシをとることもままならなくなりました。

そんな貴子さんの大変さを目の当たりにし、

「だから多くの子育てママさんが顆粒ダシを使っているのか!」

と、ショックを受けたそうです。

「なんて大変なんだ…自分のできることで妻を楽させてあげたい」

と思い、普段の食事や離乳食にも手軽に使える無添加の粉末おだしの開発が始まりました。

試行錯誤しながら辿り着いたのは、サバ、カツオ、ムロアジ、ソウダガツオの4種類の枯れ節をブレンドした粉末おだしです。

余計なものは入っていない"完全無添加のおだし"が完成しました。

粉挽だし

(ホームページよりお写真をお借りしました)

枯れ節=発酵した節を粉末にしているので、"発酵おだし"と銘打って販売しています。(詳細は記事後半のホームページをご覧ください。)

この4種類全てを自社で枯れ節にして粉末加工、販売している会社は"日本でもここだけ"だそうです。

美味しく、手軽で、安心安全な日本初の発酵おだしは奥様への愛が形になったものなのです。

すごく素敵な開発秘話ですよね!

「何にでも合うので、使い方は無限にあります」と貴子さんが様々な食べ方を教えてくださいました。

ということで早速、私も愛情込めて作られたおだしを使って、日常で活躍しそうな2品に挑戦しました。

 

じゃーん!2品併せて10分もかからずに完成

まずは、具だくさんお味噌汁。

お水に小さじ1杯のおだしを入れて具材と味噌をさっと煮込むだけ。

 

風味豊かなおだしのうまみと香りで、ワンランク上のお味噌汁が出来上がりました

忙しくて料理する時間がなくても、これがあれば心も体もホッと一安心できる一品です。

お惣菜を買ってきた日も、この一杯があればバランスが取れるのもうれしいですよね。

料理が苦手な主婦の方から「こどもがお味噌汁をゴクゴク飲むようになりました!」との声も寄せられているそうです。

「ダシを取るのは面倒だけど美味しいお味噌汁が食べたい…」という方には超おススメです!

 

次に、小石家でもよく食べられているという、だし粉ごはん。

炊き立てごはんに、おだし+お醤油+ごま油をかけて完成。

(※ごま油がポイントなのでお忘れなきよう。)

私は小葱も乗せてみました。

アツアツごはんに、だし粉のいい香りが広がります

これは食べた瞬間、思わず「うまーーーーー!!」と叫んでしまった一品です。

4種類のブレンドされたおだしの香りとうまみが広がったところにお醤油が優しく寄り添い、ごま油のコクと香ばしさがすべてを包み込んで食べた瞬間、思わずニンマリしてしまう極上ごはんです。

気づけばあっという間に平らげて、2杯目をおかわりしたのは言うまでもありません。

この記事を書いているだけでよだれが出てきました(笑)

これは皆さんにぜひ試して頂きたい一品です!

飲むぬか床サプリ「愛腸習慣」

(ホームページよりお写真をお借りしました)

 

そして、なんと英男さん、「愛腸(あいちょう)習慣」というサバ節由来の乳酸菌を活かした米ぬか発酵食品「腸活サプリ」まで開発されました。

なんというアイディアマン!

はじまりは、先代の3代目信義さんの時代まで遡ります。1970年代、日本各地で水俣病などの公害による健康被害が問題になっていました。

小石安之助商店も魚を加工した時に排出される汚水の処理をどうするか、対策を講じなければならない状況にありました。

焼津市としても公害対策を施しましたが、その政策に信義さんは「このままでいいものか…。」と疑問を抱いていました。

そこで、「自分で浄化槽を造ろう!」と思い立ち、猛勉強の末に国家資格を取得し、”自社独自の浄化槽”を開発。

サバ節などの製造過程で生じる汚水を、自社の浄化槽で浄化して海に返していました。

しかし、浄化水がとてもキレイなので「そのまま川へ戻すのはもったいな…。」と思い、浄化水で工場を清掃したら工場の中がどんどんキレイになって、魚の臭いもなくなった!

それを不思議に思い研究機関に依頼して調べてみたら、”水の浄化過程に優秀な乳酸菌群が含まれている!”ということを発見。

先代がさらに工夫を重ねて畜産用のサプリを開発。すると、それを食べた豚や牛が元気になった様子が見られ、そのうえ畜舎のニオイも軽減された!

現社長の英男さんが、さらに工夫を重ねてペット用のサプリを開発し、イヌやネコにも同様の変化が見られた!

その後、ヒト用のサプリを開発して自身で飲んでみたら、お通じが良くなりニオイも軽減し、お腹の調子や体調までよくなった!

ということで商品化されたのがこの商品。

愛腸(あいちょう)習慣

(ホームページよりお写真をお借りしました)

先代の探求心と努力と知恵を受け継ぎ、英男さんのひらめきでサプリに商品化。米ぬかと乳酸菌しか入っていないので、子どもや妊婦さんも安心して飲める完全無添加の発酵食品です。

成分的にイメージは「飲むぬか床」と教えていただきました。小石家では、毎晩寝る前に1粒飲んで寝る習慣がついてから体調を崩しにくくなったそうです。

取材中も常連さんがいらして、なんと4袋もまとめ買いされていました!

1度効果を実感すると手放せなくなるほどファンになる魅力的なサプリです。

受け継がれる愛のバトン

取材を通して感じたのは、魚の頭も内臓も乾燥させて無駄にせず、その処理に使用したお水も浄化して再利用し、乳酸菌を活用してサプリにする。

”すべて余すことなく使い切る”まさに、SDGsの極み!

今、フードロスや海洋汚染が深刻な問題になっていますが、もっと昔から熱心に取り組まれていたことに感動しました。

そしてご夫婦とのお話の中で実感したのは、

家族への愛

地域への愛

地球への愛。

先代から脈々と続く”愛のリレー”が125年の歴史を創ってきたんだなと感じました。愛情のこもった素晴らしい商品たちをより多くの人に知って食べて欲しいなと思いました。

個人的には、さかなの町「焼津」ならではの一品であり、しかもかさばらず持ち運びしやすいので、県外の実家へ帰省するときなどの手土産にしたいなと思いました。

みなさんも小石ご夫妻に会いに行ってみてください。きっと商品共々ファンになってしまうこと間違いなしです。

小石安之助商店

工場見学は随時行っているそうです

まちかどリポーター

まちかどリポーター:YUKA

YUKA

福島県出身。東京で働いていたが、 結婚を機に焼津に。 現在は4人の子どもの子育て中。 焼津は自然豊かで人が温かく、 かつ食べ物が美味しくて子育てしやすい、なんでも揃っている素晴らしい街!だからこそ、 それが標準装備になっている地元の方が気づきにくい 焼津の魅力をもっと多くの人に知ってほしいと思い、まちリポに参加。

記事一覧

ページID:158

ページ更新日:2022年10月27日