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語られる70年前の焼津ー映画「第五福竜丸」上映会に参加してきましたー

ある日、1959年に公開された映画「第五福竜丸」上映会のお知らせを見ました。
「第五福竜丸」が焼津に関係があることは知っているけれども
そもそも、第五福竜丸に何があったのか?

映画が存在することすら知らなかった私は
「せっかくの機会、焼津の歴史を知りたい!」と思い立ち、
映画「第五福竜丸」の上映会に参加しました。

この記事では、2024年5月12日(日曜日)に焼津文化会館で開催された上映会の参加レポートと合わせて
いつ、何が、第五福竜丸に起こったのか、お伝えします。

映画「第五福竜丸」上映会(共催:都立第五福竜丸展示館・焼津市歴史民俗資料館)

上映会前の様子

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映画「第五福竜丸」の概要・ストーリー

映画「第五福竜丸」は1959年公開の映画(監督:新藤兼人)。
舞台は焼津。第五福竜丸の出港から、同船無線長の久保山愛吉(あいきち)さんが亡くなるまでをドキュメンタリー調で描いた作品です。

1954年、焼津港を出た漁船「第五福竜丸」はマグロを求めてビキニ環礁付近の海域に向かいました。
そして3月1日、マーシャル諸島のビキニ環礁で行われた水爆実験に遭遇。
放射線物質を含んだ「死の灰」が広範囲に降り注ぎました。

「死の灰」を浴びた第五福竜丸の船員は肌が黒くなったり、髪が抜けたりといった症状が出始め、
帰港後、船員は原爆症とわかりました。
世界が焼津に注目した出来事であり、久保山さんは人類初の水爆被害者となりました(諸説あり)。

第五福竜丸(焼津市歴史民俗資料館 展示品より)

この映画のすごいところは
「当時の焼津の町並みや建物が記録として残っていること」
焼津駅舎、焼津市役所、焼津港…などがロケ地となっており
約70年前の焼津を見ることができます。

ビキニ環礁での水爆実験から、今年が70年の節目。
ですが、第五福竜丸の被災以降も核実験は続いています。

語られる「当時の焼津」

「懐かしかったねえ」
映画鑑賞後、会場を出ようとすると
後ろから何やら会話が聞こえてきました。
当時焼津にお住まいだった方だろうか、と気になり声をかけてみました。

――あの!当時焼津にお住まいだったんでしょうか。

突然の声掛けにもかかわらず、お話をしてくれたみなさま

「そう、当時は中学3年生でね、今年85歳だよ。私は漁師の娘で、この頃は焼津のマグロっていうだけでね、収入の面で本当に大変だったよ」
「うちは寿司屋だったよ。私は当時小学校6年生。本当にね~~あの時は大変だったねえ」
「そりゃお寿司屋さんはね~~!」

実家が寿司屋だったという女性

そうなのか。
誰も焼津の魚を食べなかった日があったとは。

”東洋一の魚市場”と呼ばれるほど漁業の隆盛が著しかった当時も
「焼津のマグロ」と言うだけで誰も食べることがなく、魚屋は本当に大変だったそうです。

当時の写真(焼津市歴史民俗資料館 展示品より)

死の灰は、福竜丸だけでなく魚屋にも降りかかったことや、
当時の焼津を知る人の語る声が、どんどんなくなっていく。
この声を残していかなければならない、と強く感じました。

この後、本上映会を担当した栗田さん(焼津市歴史民俗資料館 職員)にお話を伺いました。

焼津市歴史民俗資料館の栗田さん

――上映会開催のきっかけと、みなさんに伝えたいことを一言お願いします

「今年は、第五福竜丸が被災して70年の節目の年となります。当時を直接知る方が少なくなってきた今こそ、第五福竜丸の故郷である焼津での上映会を行いたいと考え、都立第五福竜丸展示館様のご協力を得て開催することができました。当館では、第五福竜丸の被災を後世に伝えるため、10年ごとに特別展をおこなっています。展示を通して、平和の大切さを思い返すきっかけになればと思います。」

映画解説者の小澤正人さんにもお話を伺いました。

映画解説者 小澤正人さん

「当時は映画制作の最盛期。暗い映画は赤字になると言われていても、監督が私財を投げうって作った映画。おかげで監督は本当にお金がなかったそうですが…焼津の人でも、地元が舞台なのに観ていない人が圧倒的に多い。焼津の人はもちろん、日本人は一度見るべき。この被爆から70年の節目、未来の平和につなげるきっかけになれば、監督も喜ぶんじゃないかなあ」

2024年は被災から70年の節目。
現在、焼津市歴史民俗資料館では第五福竜丸に関する特別展「ヤイヅ1954」が開催中です。
開催は2024年6月30日(日曜日)まで。

詳細は焼津市HPをご確認ください。

特別展が開催されている焼津市歴史民俗資料館

特別展「ヤイヅ1954」への入館は無料

お知らせ

特別展:被災70年特別展「ヤイヅ 1954 The Year of Fukuryu-Maru」

  • 会場:焼津市歴史民俗資料館展示室
  • 会場住所:静岡県焼津市三ケ名1550番地/焼津市文化センター内
  • 会期:2024年2月24日(土曜日)~6月30日(日曜日)午前9時~午後5時
  • 休み:月曜休館(月曜が祝日の場合、翌平日)
  • 問い合わせ:焼津市歴史民俗資料館
  • 電話番号:054-629-6847
  • 映画「第五福竜丸」のBlu-rayは都立 第五福竜丸展示館にて購入が可能です
  • 都立第五福竜丸展示館HP(外部サイトへリンク)(別ウインドウで開きます)

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まちかどリポーター:やぎちゃん

やぎちゃん

藤枝市出身。静岡文化芸術大学4年生。農村社会学専攻。人との新しい出会いや会話が好き。現在新聞社にて奮闘中。焼津で取材・記事作成スキルを学びたいと考えまちリポに参加。特技はけん玉。

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ページ更新日:2024年6月9日