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焼津の田園風景の中で出合う極上の棒茶とスイーツ!
市内に3つの漁港を持つ、全国屈指の水産都市・焼津市。その旧大井川町エリアに広がるのどかな田園風景の中に、棒茶専門のお茶屋さんがあります。今回ご紹介するのは、この地で60年以上にもわたり棒茶の製造・販売を続ける「山一園製茶(やまいちえんせいちゃ)」です。
「魚の街」として知られ、お茶処としての印象があまり強くない焼津市だからこそ、棒茶への並々ならぬこだわりや、お茶とのペアリングで味わう絶品スイーツのクオリティに驚かされるはず。地元で長く愛され続ける理由と、時代とともに進化し続けるお茶づくりの挑戦についてお話を伺いました。

取材に伺ったのは猛暑日。冷茶でいただいた看板商品の棒茶は鮮やかな黄緑色
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副産物に秘められた極上の旨味!熱湯で香る「棒茶」誕生

仕入れた棒茶の原料、電棒。
ここから、ひげのような毛葉(けば)を取り除き、乾燥の作業を行う
山一園製茶は、お茶の仕上げ過程で選別される茎部分を用いた「棒茶」の専門店です。一般的に「お茶」といえば煎茶を指しますが、初代の小澤榮一さんは、煎茶の出物(副産物)である茎が持つ独自の旨味や甘み、そして手頃な価格に着目しました。昭和41年に事業を創業し、試行錯誤の末に生まれたのが山一園の棒茶です。
通常、おいしい煎茶を淹れるにはお湯を冷ます必要がありますが、棒茶はポットから急須へ直接熱いお湯を注いでも、渋みが立ちすぎず香り高く淹れられるのが魅力です。「手軽・手頃・おいしい」の三拍子がそろった棒茶は日常に寄り添う逸品。さらに製造過程で出る細かい毛葉や粉もティーバッグの原料として無駄なく活用されていて、60年も前から先駆的な環境に配慮した経営を実践しているのです。
当初は問屋への販売が中心でしたが、近所への量り売りから評判が広がって小売りの人気が高まり、昭和60年に全国誌で取り上げられたことを機に通信販売も本格化。今や全国にファンを持つ看板商品となりました。
職人の手と五感が支える!守り続ける3つのこだわり

お茶の品質を手で確認しながら繰り返しふるいにかける、熟練の職人
山一園製茶の棒茶のおいしさの裏には、創業以来大切に受け継がれてきた3つのこだわりがあります。それは「極上の深蒸し茶の使用」「静電気を利用して選別された茎、“電棒(でんぼう)”の使用」、そして「茶葉の鮮度を極限まで活かす職人技の火入れ工程」です。
これにより、茎茶ならではの澄んだ香りと深い甘みが最大限に引き出されます。創業初期の約10年間は初代夫妻が手作業で丹念に毛葉を取り除いていましたが、その後機械を導入。現在は勤続40年を超える熟練職人が、当時からの機械を愛着を持って手入れしながら製造を一手に担っています。仕入れた茶葉の微妙な状態を見極め、機械では捉え切れない繊細な火加減や選別を調整するのは、長年の経験が成せる技です。二代目の小澤代輔さんも「自分には真似できない」と信頼を寄せる職人の丁寧な手仕事によって、いつ訪れても変わらない高品質で安心できる味が守られています。そんな歴史に思いを馳せて飲む一杯のお茶は格別。

できあがった棒茶を入れる袋は「大海袋」と呼ばれる。
「山」でなく「海」なのがみそ
フレーバーティーで快挙達成!伝統の棒茶が生み出す新しい風

日本茶アワードで受賞した商品が上段に並ぶ
棒茶の評価が確立される一方で、世間での煎茶需要も高く、山一園製茶ではさらなる魅力を届けるため新しい商品開発に着手しました。特に力を入れたのが、品種茶や発酵茶の可能性を広げる挑戦です。茶農家とタッグを組み、牧之原産烏龍茶に藤枝産ドライストロベリーを合わせたナチュラルフレーバーティーが「日本茶アワード2015」で審査員特別賞を受賞。その後、5年連続受賞の快挙を遂げます。さらに川根本町産の農薬不使用茶葉「香駿」を微発酵させた「ミルフルール」でも2024年のファインプロダクト賞を獲得し、華やかな花香が高く評価されました。
また、看板商品である棒茶も現代風に再定義し、洗練されたデザインの「BOUTEA BLACK(焙煎)」や「BOUTEA WHITE」を新開発。若い世代や海外の方にも手に取りやすい工夫を凝らしています。
「もっと煎茶を売りたいと葛藤した時期もありましたが、店舗リニューアルの際に贈られたのれんに『棒茶専門店』と刻まれているのを見て覚悟が決まった」と小澤さん。揺るぎない棒茶の伝統という柱があるからこそ、斬新でワクワクする挑戦が続けられているのです。

下段:左から、BOUTEA BLACK(焙煎強め)、BOUTEA WHITE、
棒茶(赤)、深蒸し棒茶(青)、特選棒茶(緑)。
お客様は色を指定して購入する人が多い
ひとくちで驚きの世界へ!極上スイーツとお茶が織りなす至福のペアリング

左…9月まで提供中の「桜彩氷」、右…5月にお茶とお菓子のペアリングで
提供した「きらぴか苺のベリーヌ」と「きらぴか苺のタルト」
お茶のおいしさをより深く体験してもらうため、奥さまのかおるさんが考案したのが「お茶とスイーツのペアリング」です。2019年の店舗リニューアルでイートインスペースを新設し、週末限定での提供をスタートしました。
最初は日本茶と相性の良いベトナム風ぜんざい「チェー」から始まりましたが、お客様からの要望に応えて本格的な洋菓子づくりに挑戦。かおるさんは製菓学校の講師に1年間師事して技術を習得し、現在も常に進化を続けています。
2026年は5月〜6月に旬のフルーツを使った特製タルトやベリーヌ、7月〜9月は美しく削られた「桜彩氷(さくらさいひょう)」など趣向を凝らしたかき氷が登場し、訪れる人々を魅了しています。「お茶とスイーツがこんなに引き立て合うなんて!」と驚くお客様も多く、スイーツを目当てに来店した方がお茶を購入したり、お茶を買いに来た方がイートインでくつろいだりと、素敵な相乗効果を生むことに!
かつて事務所の片隅で先代とお客様が笑顔で会話を楽しんでいたように、お店は再び笑顔と寛ぎが集まる憩いの場となっているのです。
焼津への思い

山一園製茶代表の小澤代輔さんと奥さまのかおるさん
小澤さんは「市町村合併により焼津市の一員となったことで、魚を目的に訪れる観光客の方々が立ち寄ってくださる機会が増えました」と語ります。ふるさと納税の返礼品としても需要が高まり、地域の他店からの刺激も励みになっているそうです。一方、30年前に結婚を機に東京から移住したかおるさんは「当時は車がないと生活できない環境に戸惑いましたが、今ではお店が増え、子育て支援や移住者へのサポートも手厚くなりました。ぜひ多くの方に焼津の魅力を知ってほしいです」と笑顔を見せます。
のどかな田園風景の中で育まれた極上の棒茶と絶品スイーツは、焼津の新たな魅力を教えてくれます。皆さんも贅沢な時間を過ごしに訪れてみませんか。
棒茶ワンポイント情報
棒茶はお湯の温度を気にせず淹れられるから、朝の忙しい時間にもサッとおいしいお茶が飲めるのが魅力。さらに冷茶もおいしいので淹れ方を紹介します。ぜひ、試してみてください。
冷やし棒茶:お湯で淹れた熱い棒茶を氷の入ったグラスに注いで急冷棒茶に。濃く淹れるのがおいしさのポイント。
水茶出し棒茶:棒茶を入れた冷茶ポットやフィルターインボトルに水を注いで、冷蔵庫で一晩冷やす。急ぐときは、お湯を少しだけ注ぎ濃い棒茶を作り、その後水をいっぱい注ぐ。あとは冷蔵庫で冷やしたり、氷を入れたグラスに注いだりする。
氷出し棒茶:急須に棒茶を入れて、その上に氷をのせて氷が溶けるまで待つ。だしのような、しっかりした旨味を楽しめる。

最近ではGoogleMapで検索して訪れる人も多いそう
山一園製茶株式会社
- ホームページ:山一園製茶株式会社
- 所在地:静岡県焼津市上新田862-1
まちかどリポーター

風そよぐ
静岡市在住の風そよぐです。ふるさと納税寄付額が県で1位、市の公式YouTube登録者数が県で1位(なんと市民の10分の1に相当!)、読みやすい広報やSNSなど、勢いのある焼津の魅力発信に関わりたいと思い応募しました。
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ページ更新日:2026年8月17日