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栃山川沿いにある2つの公園のお話

井川左岸・志太平野のほぼ中央を流れる栃山川(とちやまがわ)は洪水と氾濫を繰り返し、周辺住民への災害を引き起こしてきたといわれます。治水対策のため昭和から平成にかけて、蛇行した流れをほぼ直線となるよう改修工事が行われました。そして焼津市内には整備された川に沿って2つの公園が造られました。

それは他では見られないユニークな特徴を持っていました。

栃山川緑地公園と栃山川自然生態観察公園

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栃山川緑地公園と栃山川自然生態観察公園

この記事で取り上げるのは、静岡県焼津市大島・中根新田にある2つの公園、栃山川緑地公園と栃山川自然生態観察公園です。

2つの公園は焼津市のほぼ中央を東西に流れる栃山川沿いにあります。

手前を流れる栃山川越しに栃山川自然生態観察公園と緑地公園

2つの公園が生まれたきっかけ

公園の場所と大きさはインターネットの地図検索(外部サイトへリンク)(別ウインドウで開きます)静岡県地理情報システム(静岡GIS)(外部サイトへリンク)(別ウインドウで開きます)から確認されることをお勧めします。

自然生態観察公園は逆三角形のおむすび型で、その東側に続く緑地公園は垂れ下がった細長い紐のような形です。

面積は2つの公園あわせて約2万4千平方メートルあり、栃山川の改修工事に伴い、1992年(平成4年)9月16日に開設されました。

 

河川改修以前と以後、栃山川の変化がわかる写真があります。

 

静岡県 栃山川水系河川整備計画より

赤い矢印が改修後の栃山川で、蛇行して見えるのが改修前の流路です。

静岡県が2022年にまとめた栃山川水系河川整備計画(外部サイトへリンク)によると、栃山川流域では台風や大雨によりたびたび洪水が発生し、時には甚大な被害が出たということです。

改修後極端な蛇行はなくなり、それまでの流路は元の地形を利用した公園に変わりました。

それが栃山川自然生態観察園と緑地公園です。

前置きが長くなりました。ここからが本題です。

栃山川自然生態観察公園(焼津市中根新田)

栃山川入り口付近遊歩道は改修前の川床部分

園内を競うように生い茂る樹木

緑のトンネル

自然生態観察公園の特徴は樹木です。

ヒノキやエノキなど何種類もの樹木がうっそうと生い茂り、来園者を出迎えてくれます。木々の一つ一つに造形美があり、美しい景観を作り出します。どこを切り取ってもアート作品のような世界が広がります。遊歩道を取り囲むように長く伸びた枝はトンネルを作り、ほの暗い中を散策しているとアニメのトトロと出会えるような気分になります。

何種類もの樹木が来園者を出迎え

アート作品のような造形美

遊歩道に沿ってせせらぎが流れ、2つの観察小屋が建てられています。

観察小屋から見えるのは小さな沼で、おそらくそこへカモなどの渡り鳥を呼び込もうとしたのかもしれません。その隣の区画は葦などが群生し、その上に八つ橋が設置されています。

観察小屋

東屋

八つ橋(木橋)

夏になると我が家の子どもたちはこの沼でマッカチン釣りを楽しみました。

マッカチン?というのはザリガニのことです。子どもたちはそう呼んでいました。

この動画は家族で訪れた時の一コマです。

栃山川自然生態観察公園にてマッカチン(ザリガニ)釣り(2002年6月9日撮影)

栃山川緑地公園(焼津市大島)

自然生態観察公園の東にあるのが栃山川緑地公園です。

細長い弧を描くような形状で、川との間にある民家や工場を回り込むように少し長めの遊歩道が作られています。遊歩道は改修前の川床です。その遊歩道沿いにハクモクレンや御衣黄(ぎょいこう)、八重桜(やえざくら)など四季折々の花木が植えられていて来園者の目を楽しませてくれます。

栃山川緑地公園入り口付近

アスレチックなどの遊具

一般道の橋の下に小さな橋

せせらぎを跨いで設置された東屋

初夏、私は家族と訪れ、地面から這い出てきたセミの幼虫を観察したことがあります。

その時の動画がこちらです。

栃山川緑地公園にて土中からセミの幼虫(2002年6月9日撮影)

春から初夏にかけて最も楽しみなことは、御衣黄や八重桜の開花です。

これらの花木は公園化された時に植えられたものだと思います。ソメイヨシノに比べ目にする機会も少ないため、初めて見た時は心が躍りました。

御衣黄と八重桜の並木

透き通るような御衣黄の花 2021年4月3日撮影

御衣黄の花の色は萌黄(もえぎ)色、薄緑色です。平安時代の高貴な方々のお召し物の色のようだというのがその名の由来だそうです。

里山の面影

私の母の生家は栃山川沿いにあり、家のすぐ真裏を川が流れていました。

木の橋をカタカタと渡り、土手沿いの道を歩きながらヨモギ摘みをしたことが、里山の風景とともに幼いころの記憶として残っています。夏には蛍が舞い、夕涼みをして過ごしたこともあります。

今ではそのような里山のような風景は見られなくなりましたが、栃山川の二つの公園にはその面影が残されています。

河川改修後、自然の地形を生かして公園化したのは、焼津市内ではこの2つの公園だけだと市の担当者の方から伺いました。

自然の地形を生かすというのはとても良いアイデアだと感心しました。

子どもたちが成長したのちも、私は一人もしくは妻を伴い、この公園を訪れることがあります。

公園の周辺には旧栃山川の痕跡が残されていて、訪れるたびに新しい発見があるのも私の楽しみです。

栃山川沿いの河津桜

2024年2月20日、公園近くの川沿いでは河津桜が見ごろを迎え、近在の人たちが花見を楽しんでいました。

楽しそうな様子にシャッターを切らせていただきました。

私のお気に入りの散歩コースを紹介します。自然生態観察公園、緑地公園を散策したあと、土手沿いの道を下流に向かいます。栃山川堤の富士見桜がある上小田橋付近まで歩き、 長峰製茶の花カフェ(外部サイトへリンク)(別ウインドウで開きます)で一休みして、来た道を戻るというコースです。距離にしておよそ3.6km、1時間弱になります。

自然生態観察公園は「静岡県のみずべ100選」に選ばれているそうです。

樹木や草花、昆虫などの自然観察にバードウォッチング、ウォーキングなど、ここでは人それぞれに楽しみ方が見つかると思います。

半世紀前は当たり前にあった里山の風景ですが、今では貴重なものになってしまいました。

その雰囲気を味わうことができるというのは幸せなことです。

原稿をまとめるにあたり、静岡県河川企画課と焼津市都市整備課の皆様にご協力をいただきました。

改めてここに謝辞を記させていただきます。ありがとうございました。

栃山川緑地・自然生態観察公園 駐車場

【栃山川緑地・自然生態観察公園】

  • 焼津市中根新田1470番地
  • 駐車場(10台程度)、トイレあり
  • 公共交通機関:JR焼津駅南口から静鉄バス・焼津大島線に乗車、バス停・大島新田で下車、徒歩7~8分

まちかどリポーター

まちかどリポーター:グリーントマト

グリーントマト

まもなくリタイア予定の会社員。生まれは旧大井川町で、学生時代と勤務先の転勤期間を除き、焼津市に住んでいます。今まで経験したことのないものにチャレンジして、セカンドライフを少しでも充実させたい、いつまでも新鮮を持ち続けていたいというが目下の理想。

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ページ更新日:2024年3月18日