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やいづ浜通り 夏のあかり展とNPO法人 浜の会
焼津漁業発祥の地、浜通りに素朴で味わいのある行灯(あんどん)が飾られ、ゆったりとした時間が流れる催し「やいづ浜通り夏のあかり展」と主催団体「NPO法人 浜の会」について取材しました。
夏のあかり展が開催されている焼津浜通り 2017年8月5日撮影
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やいづ浜通り 夏のあかり展
上の写真は、焼津市城之腰(じょうのこし)と鰯ヶ島(いわしがしま)地区で行われる恒例行事「やいづ浜通り 夏のあかり展」のスナップです。道の両脇にいろいろな絵柄(えがら)の行灯が並べられ、道行く人たちを楽しませてくれます。
地元有志の市民団体「NPO法人 浜の会」が、地域おこしを目的に始めました。
人の背丈よりも高い大きな行灯に子どもたちが絵を描いている 2017年8月5日撮影
灯篭流しのような地域の伝統行事ではありませんが、開始から10年以上続き、今では夏の風物詩として定着しました。普段は人けの少ない浜通りに、賑わいが戻ります。市民主体の活動としては、成功した部類に入ると思います。「NPO法人 浜の会」のことが知りたくなりました。
浜通りの歴史
訪ねたのは浜通りの「ぬかや斎藤商店」です。見るからに歴史を感じさせる店の外観で中にお邪魔させていただくと、昭和の初めごろにタイムスリップしたような感覚になります。店の当主で「NPO法人 浜の会」の理事長を務める斎藤五十一(さいとう いそかず)さんの話を聞いて納得しました。
「ぬかや斎藤商店」は、なまり節や佃煮など水産加工品の製造販売を生業(なりわい)としています。廻船問屋(かいせんどんや)として創業、ここ浜通りに店を構えおよそ200年の歴史があります。ちなみに現在の建物は昭和初期に建てられ、築年数はおよそ90年だそうです。
ぬかや斎藤商店の外観 2024年8月17日撮影
「ぬかや」と赤い文字で描かれた店の看板 2024年8月17日撮影
手前に店舗と住居、奥に作業場がある店内 2024年8月17日撮影
ぬかや斎藤商店当主、斎藤五十一さんと奥様の不二代(ふじよ)さん 2024年8月17日撮影
奥様の実弟、寺尾仁秀(てらお ひとひで)さん 2024年8月17日撮影
話を聞かせていただいたのは、五十一さんと奥様の不二代さん、奥様の実弟、寺尾仁秀さんです。
焼津市の鰯ケ島から城之腰そして北浜通(きたはまどおり)まで、南北に走るおよそ1.5キロメートルの街道一帯が浜通りと呼ばれています。そしてここが焼津の漁業発祥の地とされています。明治のころから鰯ケ島と北浜通には船元、城之腰には水産加工業者が居を構え、商売を手掛けるようになりました。最盛期は大正から昭和初期にかけてのことで、漁業を中心に浜通りは栄えました。人が集まり、人口はおよそ1万2千人、今からは想像できないほど大変な活況を呈していたそうです。後にアーケード街として賑わった昭和通りもそのころは一面の畑だったそうで、浜通りは町一番のメインストリートでした。
浜の会 発足
20年前、浜通りをこよなく愛する市民の皆さんが立ち上がり、浜の会を発足しました。初代理事長は観光協会の前代表理事、清水榮男(しみず ひでお)さんでした。当初の会員は12人ほどで、当時県議だった中野弘道市長もそのお一人だったと聞きました。
2007年にNPO法人化して浜通りのあかり展開催を中心に活動しています。
会員数は40人ほどでほかに一般市民10人、企業10社が活動に協力しているとのことです。
行灯作り
倉庫内でおこなわれた行灯制作風景 2024年8月18日撮影
木枠(きわく)に図柄が描かれた和紙を張り付ける市民の皆さん 2024年8月18日撮影
完成して天井近くまで積み上げられた行灯 2024年8月18日撮影
2024年8月18日、焼津市浜通りの「庭の宿 帆や」の裏手にある倉庫と庭で行灯づくりが行われました。
この「庭の宿 帆や」は焼津水産翁の一人、服部安次郎さんの生家で現在は宿泊やイベントなどの会場として活用されていますが、倉庫は「NPO法人 浜の会」が使用しています。
行灯作りをしたのは会のメンバーとその活動に協力する市民の皆さん併せて約30人です。行灯に張る和紙には、様々な図柄と絵手紙に添えるような短い文章が描かれています。市内の幼稚園、保育園、小学校に通う児童生徒、そして市民の皆さんが描いたものです。アニメのキャラクターや魚に果物をモチーフにした図案などそれぞれに特徴があり、描いた方たちの思いが伝わります。
2024年は浜通りにゆかりのある明治時代の作家、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の没後120年に当たります。図案の中には八雲の怪談からヒントを得て描かれたものもありました。
小泉八雲「怪談」を題材にした行灯の図柄 2024年8月18日撮影
八雲の命日は9月26日で「第15回やいづ浜通り 夏のあかり展」の開催はその2週間前となる9月12日、13日です。八雲先生がどこかで見ているかもしれません。気にいってもらえるとよいですね。
今年の行灯は400点以上で、浜通りを仄(ほの)かなあかりで美しく飾ることになります。
浜通りの動画を公開
三角屋根の家の形をした史跡旧跡の案内版 2024年8月18日撮影
浜の会では新たな取り組みとして、史跡旧跡を紹介する動画を製作して、公開するという活動を始めました。2024年8月現在、公開している動画は船玉浦(ふなたまうら)神社、八雲地蔵など7本でどれもその由来や伝承を1分ほどにわかりやすくまとめて紹介しています。
浜通りを散策すると史跡旧跡の中には案内表示のパネルが設置されているものがあります。その中の二次元コードをスマートフォン、タブレットなどの端末で読み込めば、動画紹介サイトにアクセスできるということです。また下記の関連リンクからもその紹介動画の視聴ができます。
浜の会では今後も紹介動画をさらに製作していくそうです。
最後に・・・
大きな行灯に絵を描く子どもたち 2017年8月5日撮影
夏のあかり展を何度か訪れ、個人的にとても好きな情景があります。訪れた子どもたちが大きな行灯に夢中で絵を描いている様子に心が和みます。こうした体験が子どもたちに大切な思い出として心に刻まれ、訳あって街を離れることになっても再び戻るきっかけとなることを願ってやみません。
「第15回やいづ浜通り 夏のあかり展」開催日は2024年9月13日(金曜日)、9月14日(土曜日)です。詳細については以下のリンク先をご覧ください。
まちかどリポーター
グリーントマト
まもなくリタイア予定の会社員。生まれは旧大井川町で、学生時代と勤務先の転勤期間を除き、焼津市に住んでいます。今まで経験したことのないものにチャレンジして、セカンドライフを少しでも充実させたい、いつまでも新鮮を持ち続けていたいというが目下の理想。
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ページ更新日:2024年9月2日