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記念すべき初出荷!いちご農家 古谷さんの農場を見学!
2023年1月に焼津市で新規就農したいちご農家の古谷雅幸さん。
同年11月、初めての収穫の場を取材しました。
焼津市に住んで16年。今回は、焼津市のことをあまり知らなかった私に楽しいところや珍しいものを教えてくれる友人でありメンターの斉藤恵美さん(現在はお米農家さん。過去はいちごや花などを生産していたことも)とお邪魔しました。
訪問したのは11月末。
古谷さんは、翌日に初出荷を控えているとのことで農協(JAおおいがわ)までいちごを届ける準備をしていました。
「準備バッチリ!」と待っていてくれました
古谷さんの農園の場所は焼津市宗高にあります。
海に近い明るい本圃(ほんぽ)の中には、等間隔にずらりとパイプ棚が並んでいました。
棚の中のプランターには青々と光る葉っぱ、その間からは直径3~5ミリくらいの緑色のランナー(親株から生える細い茎)がいっぱい延びていました。
※本圃…収穫するハウスのこと。
ランナーの先端には大小のいちごが実り始めていました。
まだ小さく白いものから、すでに赤くなり始めているものも。
ハウスで育ついちご
焼津で農業をはじめようと思ったきっかけ
まず、焼津で農業をはじめたようと思ったきっかけを教えてもらいました。
もともと東京農業大学を卒業後、種苗を生産・販売する種苗会社に勤めていた古谷さん。
「身体を動かす仕事がしたい!」と一念発起していちご農家への転身を決めたそうです。
加えて、奥様の実家が焼津で、さらに造園業だったこともあり、ご家族も農業への転身に抵抗はなかったとのこと。
古谷さん自身の得意分野、やる気に加えて、土地のご縁やご家族の理解があったことで、安心して農業をはじめられたようです。
晴れて、認定新規就農者として焼津市から認定された古谷さん。
古谷さんが栽培するいちごの品種は「きらぴ香(きらぴか)」。
その由来のとおり、きらきらとしていて味だけでなく香りも良いんですよね。
高設栽培と呼ばれる栽培方法で、パイプ棚の上にプランターを置いて、真ん中のパイプからは苗ごとに水分や養分を送ることで、いちごを育てています。
作付面積は2反(1反は1000平方メートル=約300坪で田んぼ1枚分)。
古谷さんによると、いちごは1反あたりの収入が高いそうで、はじめやすいのだそうです。
棚の間隔も広く、動きやすそうです。
高設栽培の棚
開業は事前準備が重要
新規就農までの1年間は指導農家さんのもとで研修をさせてもらいながら、同時におおいがわ農協さんに相談していたという古谷さん。
農場の場所や資金計画の立案、届け出などの各種手続きを同時進行で進めていました。
農協の新規就農支援事業部さんからアドバイスをもらい、中古物件として空いていた今のハウスを費用を抑えて購入することができたそうです。
農協さん頼りになりますね!
天井が高く、空調設備の整ったハウス
農家をサポートする心強い存在
古谷さんを研修から就農、初収穫までサポートしてきたJAおおいがわの勝岡亮介さんにお話を伺いました。
新規就農支援事業を担当している勝岡さんは、「新規就農者さんは就農するまでが大変です。研修先や資金面、土地の関係や地域の人とのつながり、信頼を得ることも重要です。就農したいという人が清々と農業ができるように、地域との橋渡しを心がけています」と教えてくれました。
収穫したいちごの販売先を考えたり、病害虫の対策を指導したり、農家さんの様子を定期的に見に行き声をかけたりと、農家さんをサポートすることが勝岡さんたちの仕事。
JAさん、見えないところで新規就農者のためにたくさんのことをやってくれているんですね!
勝岡さんは、「農協の取り組みを知って就農に興味を持ってくれたり、古谷さんたちがつくるJA大井川のいちごを手に取ってくれる方が増えたらうれしいですね。皆さんが興味を持ってくれるのが一番です」と話してくれました。
JAおおいがわ勝岡さん
心がけているのは周りの人たちとのコミュニケーション
就農してから1年、古谷さんは「日々、いちごを見守りながら勉強中です」といいます。
病害虫の防除など、何か壁にあたるとその都度、農協さんや研修先、いちご部会の先輩たちに聞いて教えてもらっているそうです。
「焼津の人は優しい人が多くて、甘えさせてもらっています」と古谷さん。
特に2023年の夏は、猛暑で予定よりもいちごの成長が遅れ、育った株の植え替えにも日数がかかってしまったそう。その時も、パートさんに来てもらったことで乗り越えられたそうです。
「まだまだ勉強の身。一人で抱え込まずにいろいろな人の意見を聞くようにしています。だからこそ、周りの人に助けていただけるようなお付き合いを日頃からするように心がけています」
そう話す古谷さんは、真面目さと謙虚さがお顔に表れていました。
ハウス内でお話する古谷さん
就農を考えている方へメッセージと、大切にしたいこと
これから就農を考えている方に向けて、古谷さんからメッセージをいただきました。
大切なことは、
- 「農業をはじめたい」という気持ちが自分の本心であること
- コミュニケーションを大事にすること
「会社で働くのがイヤだからではなくて、前向きな気持ちでやりたい!と思ってはじめることが大事です。周りの人に助けてもらうことが多くなるので、コミュニケーションも大切です」
古谷さんがおすすめするのは、例えば部会などに参加すること。仲間の輪や先輩たちの協力が欠かせない仕事だからこそ、他の農業者と接点を持つことが大切と教えてくれました。
いちご部会のメンバー約40名の半数が、平成になってからいちご農家を始められ、研修先の師匠になっている方もいるそう。古谷さんも何年後かには研修先の師匠になっているかもしれません。
今後の目標
「今の場所で農業をやりながら、いずれは作付面積を今の倍以上に増やしていきたい」
古谷さんの農場の隣には大きな育苗ハウスがあり、来年度にむけて苗を育てている最中なのだそう。
いま、ハウスで育っている苗は、来年(2024年)春には本圃へ植え替えられて、今年以上にたくさんのいちごを収穫できるようになるそうです。
「お金も大事だけど、一番は人に喜んでもらえることです」と力強く話す古谷さん。
基本はずっといちごを見ているとのことで、まとまった休みはなかなか取れないそうですが、それを苦と感じていないそうです。
「自分がやりたいと思った仕事ですし、農業は1日の中で自分のペースで時間が取れるところがいい。サラリーマンの時よりも子どもと過ごす時間が取れるようになりました。これからも仕事と生活とのバランスをうまくとってがんばっていきたいですね」
いちごは今が旬!目標を持って奮闘する古谷さんのいちごを食べられるのが楽しみです!
あと数日で収穫できるいちご
取材を終えて
古谷さんはやりたいと思った仕事を決めて、日々がんばっています。
そして農協の勝岡さんは新規就農者をさまざまな形で支えています。
また、行政(市)では移住希望者の方への相談窓口があります。
お二人にお話を伺い、古谷さんのいちごはもちろん、焼津の農産物や焼津への愛着を深めることができました。
さっそく、まんさいかんやスーパーにいちごを探しに行きます!
古谷さん、勝岡さんありがとうございました。
左からJA大井川勝岡さん、レポーター、古谷さん
まちかどリポーター
柑橘
高齢者として、健康寿命の続く間は社会の周辺で、少しでも何かしら誰かのお役に立つことがしたいと考えまちリポに参加。別に続けている支援の活動にプラスしていきたい。
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ページ更新日:2024年2月8日