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丸生食品のこだわりを極めた「伊達巻スイーツ」「国産100%・無添加伊達巻」
皆さんはおせちに入っている伊達巻は好きですか?
私は伊達巻が好きで、焼津市の特産品と知ってから「ぜひ取材したい!」と思っていました。
今回、念願叶って焼津市中港にある伊達巻専門メーカー、丸生食品さんを取材しました。
一年中食べてもらう工夫を
丸生食品が伊達巻専業となったのは約30年前。工程に手間がかかり専用の機械や技術が必要とされるため、今では伊達巻専業メーカーは全国に焼津の2社しかありません。他社とは違う丸生食品ならではの特徴はあるのでしょうか?
伊達巻の製造には専用の機械や技術が必要とされる(提供:丸生食品)
代表取締役の松本一幸さんは「伊達巻は地域、会社によって個性があり、差別化できている。同じ焼津でも味が違うのでは」と話します。
こだわっているのは、材料の配合比率。松本さんのお父様である会長が伊達巻専業になった際、「魚臭いとこれからは売れない。若い人に食べてほしい」と考え、卵が50%、魚肉すり身が少なめの比率にたどりつきました。
もう一つのポイントは、石臼製法です。石臼でゆっくり丁寧に白身魚をすりつぶす事でしっとり感が出ます。大手メーカーが使うサイレントカッターと発泡機だとフワフワ感は出ますが、きめ細かいしっとり感は石臼製法だから出せるものです。
石臼製法で白身魚を丁寧にすりつぶす
(提供:丸生食品)
「伊達巻は日本独自の文化であるおせちの具材。卵と魚を一緒に摂れて栄養価が高い」と話す松本さん。「そういう食品は他にないので、一年中食べてほしい」と考え、従来の伊達巻とは一味違うオリジナル商品の開発にも力を入れてきました。
「プレーンな伊達巻の材料と製法の軸がしっかりしているから挑戦できた」と言います。
多彩なオリジナル商品。新商品は伊達巻ジェラート
オリジナル商品の一つ、伊達巻スイーツは焼津市が食品会社の新商品開発を支援する「ネオ焼津プロジェクト」をきっかけに開発しました。クリームチーズ、チョコレート、静岡抹茶と3種類の味があります。開発する上で「伊達巻の形状を変える」という案も出ましたが、形状は変えないようにしました。「ケーキやコンビニスイーツと戦うのではなく、伊達巻で勝負したい」との思いがあったからです。
一番人気のクリームチーズ味は、松本さんが焼津市立図書館でチーズケーキのレシピ本を読んで研究。「クリームチーズとマスカルポーネを1対1で配合する黄金比」を知りました。材料の配合比率は卵、砂糖、チーズ、魚肉の順番。チーズが魚肉より多く、チーズをしっかり感じられる味わいになっています。
チョコレート味は、耐熱のチョコチップを松本さんが生地に混ぜ、会長が埋め込むという地道な作業に大変さがあるそう。まるでお菓子作りの話を聞いているような気持ちになります。
「自分へのご褒美として食べてほしい」という伊達巻スイーツ
静岡抹茶味には色々な抹茶の中から、岡部産の高級抹茶を選んで使っています。
伊達巻スイーツには「普段、伊達巻を食べない人、初めて食べる人にも食べてほしい」というコンセプトがあります。だからこそ、上質な材料を使い美味しく食べてもらえる商品を目指しました。
他社が真似できない所までやる
オリジナル商品の中でもヒットしているのが、国産、無添加へのこだわりから生まれた「国産原料100%使用 とことんこだわった伊達巻」です。通常、すり身には解凍しても品質を保持するリン酸塩を使いますが、この商品では使いません。
「せっかくなら、ここまで飛び抜ければ他社が真似できないという所までやろう」と考え、着色料や保存料を使わず、国産原料100%で作っています。
最初は「こんなにこだわった商品を買ってくれる人はいるのかな」と思ったそうですが、無添加の食品を求める消費者が予想以上に多く、販売が広がりました。初年度は3000本、翌年は5万本に伸び、主力商品になっています。消費者の反応の大きさは「うれしい驚き」でした。
しっとり感がある「特上 烏骨鶏卵伊達巻」
「特上 烏骨鶏卵伊達巻」は烏骨鶏卵や和三盆糖、米粉でんぷん、海洋深層水など上質な原料を揃えて作りました。解凍後のパサつきがなく、しっとり感があるのが特徴です。2024年に全国蒲鉾品評会で農林水産大臣賞を受賞しました。
オリジナル商品に注力した結果、販売の内訳は2010年8月の工場移転時にはNB(自社ブランド)3割、OEM(他社ブランド製造)7割でしたが、現在ではNB7割、OEM3割に逆転しました。
焼津市中港にある本社・工場
伊達巻を焼津で製造するメリットはあるのでしょうか?
焼津に練り製品の会社が多いため、年間を通して問屋から卵、すり身、でんぷん、砂糖などの原料を調達できる事は強みです。卵は大手メーカーが使わない未殺菌の卵を使うことでベタっとせず、ふんわりとした食感に仕上がります。
農林水産大臣賞を受賞し、焼津市長を表敬訪問した松本さん
「伊達巻愛」にあふれた松本さん。開発へのこだわりを楽しそうに話す姿が印象的で、普段美味しく食べている伊達巻も奥が深いと感じました。これからも、どんなオリジナル商品が登場するか楽しみです。
有限会社丸生食品
住所:焼津市中港3年5月1日
TEL:054-629-2068
HP:https://www.datemaki-marusei.com/(外部サイトへリンク)
【工場直売】
販売時間:9時~11時半頃、午後1時半~午後3時半頃
※午前中は製造日の場合のみ。1、2、3,8月は基本的に午後のみ。工場事務所で販売。
※12月は年末予約制のため、販売していません。予約は12月1~24日まで行っています。
まちかどリポーター
yuko
藤枝市出身。静岡市に引っ越した後、東京で大学、社会人生活を送り、再び静岡市に戻る。焼津は子どもの頃を思い出す懐かしい街のため、変化にも目を向けて取材を楽しみたい。
ページID:392
ページ更新日:2025年9月20日